資生堂の各種ブランドや商品とユーザーをつなぐ
デジタルプラットフォーム「ワタシプラス」

資生堂ジャパンが顧客基点のサービスを目指して、2012年4月に公開した「ワタシプラス(watashi+)」。「お客様が中心にいるサービス」をコンセプトに、資生堂にまつわる店舗情報や予約ページ、化粧品や美容に関する悩みや質問に答えるコンテンツなど、資生堂の商品を購入できるECサイトという位置づけを越えたデジタルプラットフォームだ。
公開当初より会員向けのメール配信をスタート。売上を考慮したメールの大量配信を行ったことで売上やPVは上がったものの、開封率やCTRの低下、退会者の増加が発生。顧客目線のコンテンツを用意していた一方で、企業目線のコミュニケーションで、ワタシプラス離れを助長する難問にぶつかった。
「お客様に起きた変化や機微にしっかりと対応できること。それがワタシプラスを貫くスタンス。お客様が離れたら意味がありません。本当にこれでよかったのか、考え直しました」(徳丸氏)
同社ダイレクトマーケティング部は、根本的な問題解決へと着手。A/Bテストを繰り返しながら、不要なメールを探り出し、統合。「EC売上」「店頭送客」「エンゲージメント強化」など、配信目的やターゲティングを明確化した配信で状況の改善に成功した。
さらに踏み込んだ改善を目指すために、クロスチャネル展開が可能なSalesforce Marketing Cloudを2015年7月から導入。顧客目線に立って配信タイミングや、情報の出し分けを行うシナリオベースのメール配信へと転換し、配信の自動化を実現した。
また、効率化を引き換えに発生したボリュームの減少という課題を解消するために、ブランド基点のコミュニケーション戦略を採用。顧客目線にブランド基点を掛け合わせた、資生堂流のコミュニケーションへと舵を切る。
「お客様にとって最適・最良なブランド体験を提供し続けるためには、Marketing Cloudの機能性が不可欠です」(徳丸氏)



お客様の機微を捉えた「モーメント」基点で
CVRの10倍増とボリュームアップを実現へ

顧客目線に各ブランドの視点を加味した方向性を実現するために、ワタシプラスは「モーメント」という、「今、お客様が何を考えているのか」を捉えるための評価軸を採用。「デモグラフィックデータ」「ブランドの好み」「美容への好みや悩み」「購入チャネル/利用デバイス」という4つの軸を基点に、過去から現在にかけてのあらゆるログデータを分析。資生堂と関連する外部サイトの分析結果も加えて、より実状に近いユーザー分析を行えると徳丸氏は語る。
「テストマーケティングでは、モーメント基点のCVRは以前のセグメント配信より10倍アップし、ボリュームの増加へも目鼻が立ってきました。今後は、モーメントを捉えたシナリオをMarketing Cloudに連携させて、ブランドごとのカスタマージャーニーマップを作り、最適化を盤石にしたいですね」(徳丸氏)

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