この「生活者のインフルエンサー受容性調査」では、購入時の情報接触パターンをもとにセグメントした、一般層2,600名、SNS影響層1,300名、インフルエンサー影響層300名に対し、それぞれのインフルエンサー受容度を調べました。本リリースでは、調査から抽出された主なファインディングスを紹介します。

【調査結果のサマリー】
今回の調査から得られた発見は、
1.生活者の購買プロセスにおいては、自分に合うという「親和性」の重要性が高まっている
2.インフルエンサーに対しては、個人の親しみや共感を意味する「信望性」を感じている
3.インフルエンサーの「信望性」は、その活動の内発性や本音感に支えられている
ということでした。
インフルエンサーは、生活者にとっての“新しい情報ポジション”として独自の価値を築いていることが明らかになりました。

以下では、上記1~3の 3つのファインディングスの要点を説明します。

1. 生活者の購買プロセスにおいて、自分に合っているか納得する「親和性」の重要性が高まっている
SNS普及後の生活者は、購買プロセスにおいて、自分が最適な選択をするための商品・サービスの比較に加え、それが本当に自分に合っていると納得するための「親和性」を重視するようになっています。

3つのセグメントに対し、購買に至るまでに「その商品に興味を持った」「その商品について調べた」「その商品を他の商品と比較した」といった意思決定のファネルをいくつたどるかを聞いたところ、平均回答数は一般層で2.39回、SNS影響層で2.74回、インフルエンサー影響層で3.14回という結果が得られました。インフルエンサー影響層は一般層よりも、「買おう!」「決めた!」となるまでの判断プロセス数が多く、慎重に検討を重ねる層であることが分かります。

同様のことが、認知~購入までの判断時間の長短についても言えます。特に“速断”と言える「1日未満まで」を基準に見てみると、一般層>SNS影響層>インフルエンサー影響層であることが分かります。

【図表1:各層の 認知~購入までの時期 について】
 (10618)

このような購買プロセスにおいて、商品を買う際に決め手になる意識変容として「その商品が自分に合うと感じた」を挙げたのは、一般層で33.9%、SNS影響層で38.0%、インフルエンサー影響層で44.0%となっています。インフルエンサー影響層は比較・納得のフェーズで自分に合うかどうかという親和性を重視しており、そこにインフルエンサーの情報発信が役立っていることが分かります。

この結果からは、SNS影響層とインフルエンサー影響層は必ずしもインフルエンサーの推奨で「衝動買い」するようなことはなく、「自分に合うか」という基準を大事にしながら丁寧に比較検討していることが伺えます。

2.インフルエンサーは「信望性」という価値に立脚するが、マスメディアへの露出により「信頼性」も上昇する
本調査では、「信頼性」と「信望性」という2つの軸で調査を進めました。前者は、社会的な信用、伝統といったリソースを裏付けとするもので、後者はパーソナルな親しみ、好感、共感性を意味しています。どちらがより重要かということではなく、情報メディアの多様化によって生活者は異なる判断基準を明確に持つようになった、という仮説を当社では持っています。
「信頼性」については、調査項目の、サービスやメディアは「広く認知されている」、「価値が保証されている」、「これからも長く続いていく」の合計スコアを尺度として用いています。一方、「信望性」については、「好感や親しみ」、「等身大である」、「相性が良いと信じられる」のスコアを合計したものです。
図表2は、インフルエンサー影響層の視点で各メディア・情報源を「信頼性」と「信望性」の軸でグラフ化したものです。

【図表2:各メディア・情報源の信頼性/信望性スコア】
 (10620)

インフルエンサー影響層においても、「信頼性」の指標は、テレビ、新聞といった伝統メディアが高くなっており、有名ポータルサイトも高い位置づけとなります。具体的なスコアとしては、テレビは信頼性が77.0%、信望性は24.7%。有名ポータルサイトAは信頼性が69.3%、信望性は17.7%。どちらも信頼性では優位となっており、第二象限に位置します。

グラフで赤い円でマーキングしたように、動画クリエイターは信頼性が54.7%、信望性が66.1%、Instagramクリエイターは信頼性が55.1%、信頼性が68.5%となりました。信頼性に加え、他のメディアや情報源と比較して信望性が高いスコアとなっており、特異的なポジションを示しています。

なお、強調すべきなのは、信頼性と信望性は対立する指標ではないということです。信望性の高いインフルエンサーも、信頼性の高いマスメディアに露出することで、より自身の信頼性を高めるといったサイクルも指摘できます。具体的な調査設問で確認すると、動画クリエイターについては「他のメディア(テレビやネットなど)に出ているのを見かける」ことが、「広く認知されている」と思える人だと感じられるのは、一般層で55.5%、SNS影響層で50.2%、インフルエンサー影響層で42.3%となりました。一般層の方が高いスコアを見せるという結果が示唆的です。同様に、Instagramクリエイターについて、雑誌に出ていることは「価値が保証されている」と思える人は、一般層で40.5%、SNS影響層で16.4%、インフルエンサー影響層で26.1%となっています。

ここから、インフルエンサーもまた他のメディアとの関係性のもと成立していること、つまり現代の生活者がメディアごとにさまざまな価値を感じていることが読み取れます。


3. インフルエンサーの信望性は、活動の内発性や本音感に支えられている
インフルエンサーの信望性は何によって担保されているのか。調査結果から分かったことは、インフルエンサーが個としての発信を全うできているか否かということでした。
動画クリエイターについて、「本音で発言している」ことが、信頼性を高めると考えるのは、一般層で51.9%、SNS影響層で56.8%、インフルエンサー影響層で71.1%となりました。また、「純粋に楽しんでいる」ことが信頼性を高めると考えるのは、一般層で39.1%、SNS影響層で36.0%、インフルエンサー影響層で50.0%となっています。
同様に、Instagramクリエイターについて、「本音で発言している」ことが信望性を高めると回答している人の割合は、一般層で42.9%、SNS影響層で44.6%、インフルエンサー影響層で50.0%となりました。
動画クリエイター、Instagramクリエイターにとって動画の回数/チャンネル登録数・フォロワー数など量的な指標も生活者側からチェックされていますが、今回の調査で分かったのは投稿姿勢の重要性です。

引用元URL:https://www.uuum.co.jp/2019/04/15/33670

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