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株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:藤田晋、東証一部上場:証券コード 4751)における人工知能技術(※1)の研究開発組織「AI Lab」と、大阪大学基礎工学研究科 石黒浩教授との共同研究講座は、東急不動産ホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役社長:大隈郁仁)との3社共同研究プロジェクトとして、ホテルにおける人型ロボットを活用した実証実験を3月19日より開始し、第1回目の実験結果を発表いたしました。

本研究プロジェクトでは、人型ロボットによるホテル宿泊客への接客を実現するために、東急不動産ホールディングスのご協力のもと東急ステイ高輪を検証施設とし、卓上型対話ロボットの 「CommU(コミュー)」 と 「Sota(ソータ)」を用いた接客実験を、3月19日(月) から 3月30日(金) までと 4月16日(月) から 4月27日(金) までの2回に分けて実施いたします。すでに1回目の実験が終了し、現在は2回目の実験を実施中です。

■背景とねらい

近年、サービス業における人材不足やインバウンドの増加を背景に、業務効率化や自動化が進んでおり、その対策の一つとしてロボットによる業務の代行が注目され、あらゆる商業施設や宿泊施設においてロボットの導入や様々な実証実験が行われています。その一方で、サービス業に関わる人員が減少することによる顧客満足度の低下が危惧されており、顧客の満足度向上の必要性から、おもてなしやホスピタリティを補完する重要度が増しております。そのため、「人間の業務代行」だけではなく、「人をもてなし、満足度を向上させるロボット」が求められています。

サイバーエージェントと大阪大学大学院基礎工学研究科は2017年4月に共同研究講座を開設し、「人と社会において調和的に関わることができる、ロボットを含めた対話エージェントの実現」に向けた基礎技術の確立および、「人の持つ対話能力に関する科学的な知見の獲得」を目指し、ロボットやチャットボットによる接客対話の自動化の研究開発を進めてまいりました。

このような背景のもと、様々なシーンでのロボット活用を検討する東急不動産ホールディングスのプロジェクト参画により、「ホテルにおける人型ロボットを活用したコミュニケーション研究の実証実験」を開始いたしました。本研究における人型ロボットは、“新しいおもてなし”の提供を実現できる可能性があり、“新しい広告媒体”となる可能性があります。今回の実証実験のねらいは、実際のホテル環境において、ロボットがどのような場所でどのようなふるまいをすれば人に受け入れられるのか、また、ロボットが提供する情報を人が取り入れやすくなるのか、その知見を獲得することです。

■1回目の実験を終えて

実験ポイント:「ホテルにロボットがいると人(顧客)はどのように感じ、反応するのか」

ホテルというプライベートに近い空間の中で、存在感や行為主体性(※2)のあるロボットが人に対し挨拶や声かけを積極的にしてくる状況は、ともすれば威圧感を与える可能性もあります。そこで、この点を確かめるべく3月に1回目の実験を実施いたしました。東急ステイ高輪の2階フロアの廊下とエレベータ前に、卓上型ロボットの「CommU」と「Sota」を配置し、外部カメラで人を検知すると、適切なタイミングで人に対し声かけや挨拶を行います。

被験者への調査を行った結果、「ロボットに積極的にいてほしいわけではないが、いる分には威圧感はなく、むしろ楽しい気分になる」ということが示されました。これは、ホテルという空間においても、「人に対し積極的に話しかけるロボットの存在は自然に受け入れられる」ということを意味し、我々が目指す、ロボットと人が調和的に関わるという世界観の根底にある仮説を確認できた有用な結果であるといえます。

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